こんにちは、スーパーに買い物に行ってケベックの地ビールの種類に毎回圧倒されている Yuki(@yukiecdblog)です。
ケベック州に住んで気がついたのが、醸造所の多さとその種類の豊富さです。
カナダの中でもフランス語圏ということもあって、ワインのイメージを勝手に抱いていたのですが、実は地ビール(通称:クラフトビール)の生産がとても盛んです。
醸造所とパブが一体になっていて、製造タンクを見ながら飲めるなんてバーも少なくありません。
そこで、ケベック州のビールの歴史と1年半住んで実際に試した中から人気の高いおすすめクラフトビールをご紹介します。
ケベック州もですが、カナダ全土のおすすめビールが気になる方は合わせてこちらの記事「ビール好きによる、カナダで人気!おすすめビール6選」をご覧ください。
ケベック州のブリュワリーとクラフトビール
ケベック州のマイクロブリュワリーの歴史
ケベック州でのビールの生産の始まりは17世紀のフランス人のケベック入植の頃に遡ります。
このとき、3つの大きな目的によってケベックに初めて醸造所が作られました。
- アルコール度数が強いフランス酒の代用品
- 輸入飲料購入による外国への通貨流出の削減
- 豊富な穀物の利用
(参照:Brewing Industry in Canada)
その後各地に小規模のブリュワリーが広がりますが、技術発展による大量生産への時代の流れで、小規模の醸造所ではコストの削減が難しく長くは続きませんでした。
本格的なブリュワリーの復活が始まるのは1980年代に入ってから。
ヨーロッパでの流行に乗り、あちこちにマイクロブリュワリーと呼ばれるより小さな醸造所が作られるようになり、2017年はケベック州だけでブリュワリー登録数が190にまで成長しました。
ふと耳にした地元ラジオ局の情報によると、ここ5年あたりでの成長は凄まじく、マイクロブリュワリーの需要が供給を上回るほど市場が拡大してきているそうです。
ケベック州のクラフトビールの特徴
ケベックでのマイクロブリュワリーの製造法を見てみると、フランスやベルギー、イギリスの伝統的な醸造方法で作られているものが多いことに気がつきます。
これもヨーロッパからの植民やイギリス統治下に入っていたことによる影響を強く受けているからだと考えられ、地元で作られるクラフトビールは、強めの味と香りで濃い色をしたエール系のビールが多いのが特徴です。
とは言っても、アメリカからの影響もあってラガーは定番化し、甘くフルーティーなものやサッパリしたクラフトビールなどとにかく豊富なラインナップで選ぶのも一苦労です。
ケベックに住む人々が求めるビール
地元の産業を盛り上げようと、『地元のビールを飲もう』( "drink local" )という動きが広まっていることもあります。
ケベック市内には多数のケベック産マイクロブリュワリーのクラフトビールを集めたレストランやパブもあり、パブではビアテイスティングと言って数種類セットで比較できるシステムを持つところも少なくありません。
同じビールを愛する人たちが、近くのパブでビール片手に談笑しながら飲み比べを楽しんで、自分のお気に入りを語り合う。
そんなことが大好きなケベコワたち(ケベック出身の人)は、週末に自宅からほど近いローカルなマイクロブリュワリーレストランやパブで友人たちと気兼ねなく過ごすことが大好きです。
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◆セイント・アンブロワーズ(St-Ambroise)
1989年にモントリオールで始められた、マック・オースラン醸造所(McAuslan Brewery)の人気ラインがこのセイント・アンブロワーズです。
2018年の5月に開催されたカナディアン・ブリューイング・アワードでは、サン・アンブロワーズのペール・エール(Pale Ale)が金賞を受賞しました。
個人的にはアプリコット・ウィート・エール(Apricot Wheat Ale)という、あんずのフルーティーな味わいのビールが爽やかなビールでおすすめです。
◆グリフォン(Griffon)
同じくマックオースラン醸造所にて1992年から作られているのがグリフォンです。
黄色いラベルのエクストラ・ペール・エール(Extra Pale Ale) は過去にワールド・ビア・アワードで金賞の受賞歴もあります。
クリアなホップとモルツが特徴で、こちらもマック・オースラン醸造所で作られています。
◆ユニブルー(Unibroue)
1993年にユニブルーの醸造所と合併しますが、もともとは1990年から製造が開始されていました。
その後、買収されたスリーマンと合わせてサッポロビールの傘下に入っています。
おすすめはユニブルーの数あるラインナップの1つの、ラ・フィン・デ・モンド(La Fin de Monde)という地の果てを意味するビール(写真左)です。
こちら、なんとアルコール度数9%です。
大航海時代にフランスから渡ってきた航海士がケベックを「地の果て」だと思った歴史的背景にちなんで名付けられ、ラベルにはケベック州が描かれています。
蓋がコルク式のワインサイズ(750ml)をお土産に持って帰ったことがありますが、ケベックらしさが伝わってなかなか好評でした。
◆ボレアール(Boréale)
1987年、3人のモントリオールの大学生たちが自分たちの学費の支払いのために作り出したのがボレアールの始まりでした。
現在では提携する販売会社だけでなくバーやレストランも増えていて、ケベックシティの旧市街地内のお店でも味わえるお店がかなり増えています。
定番ものはどれもアルコール度数も強すぎず飲みやすいので、どんなシチュエーションでもおすすめです。
中でもわたしのお気に入りは、ホップの苦味とアロマの香りが抜群なIPA(Indian Pale Ale)です。
強い苦味が苦手な方でも試しやすいと思いますよ。
◆ベル・グル(Belle Gueule)
1988年に3人の起業者で作り始めたビールがベル・グルの起源です。
時を経て1998年に、ベル・グルを作っていたブラウサーGMT醸造所(Brasseurs GMT)を含めた3社が合併し、レ・ブラウサー・RJ(Les Brasseurs RJ)という醸造所を設立しました。
現在も家族経営で引き継がれ、今やケベック最大の醸造所に成長しています。
写真はピルスナー(Pilsner)とローズ(Rousse)ですが、クリア感や苦味などに違いはあれど、抵抗なく飲める味が多いのでどれを試しても間違いはありません。
◆アーチバルド(Archibald)
2005年に設立されたベルギースタイルの製造法を採用したアーチバルドは、ドイツとイギリスの麦を使って作られているビールです。
醸造所はカナダ第3位のラバットに買収されていますが、レストランとバーの経営は独立して続けられています。
ケベックの玄関口、モントリオール・ピエール・エリオット・トルドー国際空港のセキュリティエリアの先に、赤黒チェックのおしゃれなアーチバルド・レストランがあるので、待ち時間があれば立ち寄って有意義な時間を過ごしてみてはどうでしょうか。
番外編:ローカルビールを扱うお店で探す個性的なビール
◆デュー・ドゥ・シエル!(Dieu du Ciel!)
1998年に創業者の8年越しの願いが叶ってオープンされたデュー・ドゥ・シエル醸造所で作られているクラフトビールです。
舌に印象を残す味わいやコーヒー味のビールなどだけでなく、多様なアルコール度数のビールを揃えていてどれを選ぶか迷ってしまいます。
迷った時には アメリカンIPA でアルコール度数 6.9% のモラリテ(Moralité) を試してみてください。
ドライでアロマなフルーツの香りがありながらも、シャープな苦味を残す不思議な味わいを楽しめますよ。
◆マイクロブラサリー・シャルルボワ(MicroBrasserie Charlevoix)
1998年に創業を開始し、2009年にリニューアルされたマイクロブラサリー・シャルルボワ。
シャルルボワは2018年にG7サミットが行われた場所で耳にしたことがある人もいるかもしれません。
中でもドミナス・ボビスカム・ブランシェ(Dominus Vobiscum Blanche)は、ベルギースタイルでシトラスフルーツとカモミールの香りが評価され、コンテスト受賞歴もあるクラフトビールです。
どこで購入ができるのか
ケベックを代表するビールの入手先はスーパーかコンビニで
店舗にもよりますが、わたしはブリュワリービールを手に入れたいならスーパーかコンビニ、缶で安く買いたいならガソリンスタンドを利用しています。
こちらのスーパーだと、IGAやProvigoがブリュワリーの品揃えの種類が豊富で、Metroでもそこそこ揃っていると思います。Maxiは1缶売りはほとんどなくて12本入りのケースが多いです。
ケベック州の公式酒屋であるSAQはワインやスピリッツは豊富にありますがビールは少ないです。
オールドケベックシティ内だと、旧市街地内の中心地にあるコンビニ Epicerie Richard にケベック州の代表的なビールはある程度揃っていると思います。
ケベックのマイクロブリュワリーは小規模専門店へ
逆にスーパーではマイクロブリュワリーの取り扱いビールはそれほど多くありません。
中心部から離れたスーパーや小さめのコンビニなら揃っていることもありますが、確実にあるとは言い難いのでビール専門店に足を運ぶ方がいいと思います。
ケベック旧市街地からだと近場で3箇所挙げられます。
どこも中心部から歩いて15分程ですので、営業時間を確認してから足を運んでみてください。
- 旧港市場(Market Old Port of Quebec)
- ラ・プラス・デピュイ1982(La Place depuis 1982)
- ザ・ドゥシェズ・ダイギュロン(The Duchess D'Aiguillon)
まとめ
いかがでしょうか?
わたしは1年以上経ってもケベック州のクラフトビールの制覇への道のりはまだまだです。
(数が多すぎて飲んでいるうちに前の味を忘れるので、また振り出しに戻っての繰り返しで終わりが見えません。笑)
ケベック州に足を運ぶ機会があれば、ぜひローカルの人が作った愛情あふれるクラフトビールを試して、自分だけのお気に入りの1本を見つけて見てください。