海外に身を置くと、改めて日本との違いを感じてもっと日本を体験したいと思う瞬間がたくさんあります。
日本に帰ったらいつか四国八十八ケ所巡りで四国の良さや日本の心をお参りを通して味わいたいと思ってました。
そんな海外移住前、もうこれを逃したらいつ自由に動けるかわからない・・・今がチャンスだ!と思い立って友達と車泊で巡礼を決めました。
アラサー女2人(一部3人)のお遍路旅。
お遍路さんってなに?と思う方やいつかやってみたいけど...と躊躇している方へ、アラサー女子でもできる、お遍路で実際にかかった日程、費用、そして旅で得たことについてご紹介します。
お遍路さんっていったいなに?
いつからどんな目的で始まったの?
お遍路は簡単にいうと、八十八ケ所の霊場をまわって弘法大師の精神境地に近づく旅だと思いました。
今から約1200年前の平安時代、日本各地で密教が広まります。
その代表する僧が空海(弘法大師)であり、彼にあやかろうとたくさんの人が同じ道をたどって修行を始めたのがお遍路さんの始まりです。
今では目的は人それぞれで、病気や怪我を治したい人、強い願い事がある人、信仰が深い人、友達に誘われた人など本当にさまざまです。
そしてお遍路には「同行二人」という言葉があるのですが、四国巡礼の旅は一人ではなく、あくまで弘法大師と一緒にお参りをするという心が込められています。
四国八十八ケ所、ぜんぶのお寺を廻ると距離はどれくらい?
大昔はもちろん歩くことしか手段はなかったのですが、今は自転車やツアー、車やタクシーとどの手段を取っても構いません。
その総距離・・・約1400キロ。
42.195キロのフルマラソン33回分以上です・・・!
歩きお遍路の人はこの距離を歩いているのかと思うともはや尊敬しかありません。
長い距離の移動ですが車で移動する場合には標識があちこちに出ているので、比較的わかりやすいのは助かります。
お遍路さんの回る順番や時期にルールはあるの?
理由も人それぞれでいいなら周り方も人それぞれ。
札所の順番に巡る「順打ち」や「逆打ち」、何回にも分ける「区切り打ち」などありますが、どんな順番でどの時期に回っても構わないんです。
中でもご利益が一番いいとされるのが、うるう年で丙申(ひのえさる)の年!
四国巡礼にまつわる伝説上の人物衛門三郎が、弘法大師を追って20回の順打ち後に逆打ちでやっと出会えた832年と同じ干支だからです。
ただ干支は60年周期なので次に条件が揃うのは2076年…。
そんなの先すぎるよ〜
という方に朗報が・・・!
通常の3倍のご利益があると言われる、うるう年の逆打ちです!
次のうるう年は東京オリンピックのある2020年。このときに向けて計画を立ててみるのもいいかもしれませんね。
車でのお遍路さんは何が必要?
よく見る基本装備、白衣は必要?絶対に必要なものは?
やってみようと思い立ったら必要なものを揃えましょう。
お遍路さんというと白衣に金剛杖と伝統的な姿を想像しますが、普段のカジュアルな格好のまま参拝する人も今は多いです。
そう、格好にも制限がないというのも気軽に始められる理由の一つ!
そもそも昔は巡礼中に命を落とす人もいたのでそのままお墓になるように白衣だったとのこと・・・。
怖すぎます!
が、道も整備されていない時代、四国は少し離れるとそこは僻地です。
次に会う時には命があるかわからないくらい、大変な修行だったのが垣間見れます。
お参りで生命の危険性がない現代ですが、必要なものはそれ以外にもあります。
最低でも次の8点は用意しておきましょう。
納経帳・御影帳
お寺でお経を納めた証しに、お寺の名前の筆書と朱印をもらいますがそれを書いてもらうのが納経帳です。
御影帳が納経帳とセットになっているものは珍しい気がします。両方まとまっている方が楽ですね。
納経所の受付は午前7時から午後5時までで、忙しい時間帯は複数人の書き手さんが待機しているお寺もあります。
62番の宝寿寺はお昼休みがあったり、数カ所受付が短いところもありますので次の日廻るところは確認しましょう。
週末や祝日はツアー客や団体さんで混み合うことも多いのですが、状況によっては個人を優先してくれることもあります。
人が多くても苛立つだけもったいないので、これも修行!と思って落ち着いて待ってみてください。
出来上がった文字は書き手さんによってさまざまで、力強い字や優しい字など世界に一つだけの自分の納経帳になっていきます。
一緒にお寺の御本尊が描かれた御影の紙ももらうので、これも御影帳に入れて大切に保管しておきましょう。
お顔の表情もそれぞれ違うのでぜひ見比べてみてくださいね。
経本(きょうほん)
本堂と大師堂のそれぞれでこの経本を手に般若心境を読み上げます。
お経の読み方を知らなかったアラサー女子3人(最初の3日だけ3人だった)は、最初のお寺ではベテランさんが上手に読み上げる横でシドロモドロ。
慌てふためいて発音やイントネーションをマスターすべく、参考にしたのはyoutubeでした。
これがまぁ〜いろんなパターンがあって!
それぞれ抑揚や息継ぎに個性があるんですね〜。
初日の車内は爆音でひたすらお経を聞いて読経レベルアップを本気で目指すという、なんともおかしな風景でした。
《追記》最近はテクノ法要(!)をするお坊さんもいらっしゃるんですね!これなら一発で覚えられるかも!?
ぜひみなさんも自分のお気に入りを探して見てください。
納札(おさめふだ)
お経を読んで参拝した後、本堂と大師堂のそれぞれの札箱に札を納めます。
100枚綴りで一冊なので、最低でも二冊は必要です。
裏に住所や日付を書くところがあるんですが、事前に自宅などで書いて用意しておくとお参りがスムーズにできます。
翌日分の20枚書くだけでも思った以上に時間がかかります。
日付には「吉日」と書くと同じ月の間であればいつでも使えるようになるのでおすすめです。
納札には何種類か色があって、回数によってレベルアップしていきます。
初回は白色、そのほかに緑、赤とありますが、金色の札は50回以上の人・・・!
その人には現実を超えた向こう側の何かが見えているような気がします。
ロウソク、ライター、お線香、お賽銭
雨や風の時も想定されるので、ライターは勢いが強いものが便利です。
もらい火は業をもらうという考えがあるのでなるべく避けた方が無難ですしね。
お線香は3本セットで立てますが、後の人のことを考えてなるべく中心に置きましょう。
持ち運びのカバンに入れるとき、衝撃で折れてしまうことがあるのでケースに入れることをお勧めします。
そしてお賽銭用の小銭はもちろんですが、納経用と駐車場代金用にも1000円札や100円玉がたくさんあると助かります。
初日に銀行で両替するなどして手元に用意しておいて下さい。
ガイドブックは用意した方がいい?
私はこれを購入しました。
良かったのはそれぞれのお寺の情報と車での難所が記載されていたことです。
このお遍路をスタンプラリーで終わらせたくなかったので、移動中にガイドブックを読んで次のお寺の歴史や背景のことを少し勉強していました。
せっかくお寺に参っているんです。どんなことがあった場所なのか、想像を巡らせてみてください。
お寺の歴史や仏様について知っていくと時代の流れや受け継がれるものを感じることができます。
お遍路さん用の本は必須ではありませんが、この情報がないと知り得なかったことも多かったので個人的にはとても重宝しました。
ぜんぶで何日かかった?観光はできた?
逆打ちですので88番から廻ったパターンです。
最初の3日間だけアラサー女子3人旅でしたが、4日目から2人になりました。
- 1日目 :5寺
- 2日目 :8寺
- 3日目 :11寺
- 4日目 :5寺
- 5日目 :8寺
---(1日休み)--- - 6日目 :9寺
- 7日目 :5寺
- 8日目 :8寺
- 9日目 :6寺
- 10日目:16寺
- 11日目:1寺
お遍路11日+高野山1日の計12日でした。
途中でどうしてもな用事があって1日だけお休みで友達と別行動をしていますが、お遍路としての日数は普通に廻って11日でした。
車泊だとなおさらですが、体力的にはどうしても後半は疲れてくるので体調管理はめちゃくちゃ大事!
そして基本的には日中がっつり観光する余裕はないかなと思ってたんですが・・・
写真を見返してびっくり!
この日程でも四国を満喫してました。
- 日本三奇橋の一つ祖谷のかずら橋のスリルを体験
- こんぴらさんで知られる金刀比羅宮で1368段の階段を歩く
- 日本三古湯の一つ道後温泉の湯につかかる
- 日本百名山の中でもっとも登りやすい剣山を登る
ポイントを押さえてゴールの四国八十八ヶ所第一番の霊山寺に向かえてます。
(高知もちゃんと観光してますよ〜)
ただ、もっと日中にしか廻れない場所を観光したいなぁと思っているのであれば、数日余裕を持つと各所を満喫しながら楽しめると思います。
準備費・食費・交通費、ぜんぶでいくらかかった?
実は大した下調べもなく勢いでお遍路を始めたので、思ったより費用がかかったと思っていたのですが、よく調べて見ると車泊マイカー参拝は格安だったんです!
団体バスツアーだと最近格安のツアーも出てきたとはいえ30万円以上かかってしまうものが多いです。
ちなみに歩きだとだいたい50万円以上かかるそうです。
今回かかった費用をざっくりいうと、
装備用品 :約6,000円
ガイドブック :約1,500円
納経総額 :26,400円(御朱印代300円×88箇所)
生活費と交通費(高速・駐車場含):約70,000円(1日平均約5,300円)
高野山遠征費 :約15,000円
ということで、マイカーでお遍路をすると約11万円!ツアーの3分の1程度の費用で節約にもなります。
ここでの食費はスーパーのお惣菜やお弁当メインで、香川のうどん巡りや宇和島の鯛めしなどの名物はたまに食べに行く程度でした。
お風呂は毎日だいたい400~750円ぐらいのところで温泉に入っていましたが、安いところは営業時間が短いところが多かった印象です。節約したいのであれば、早めに目星をつけておくといいですね。
ちなみに四国はどこでも温泉が多いイメージですが、高知の室戸あたりはお気をつけ下さい。銭湯や温泉は少ない上にお店の休業日と被ってしまい、かなり引き返して別の温泉に行くことがあったので・・・。
車泊はどんなところに止めていた?
実家が高知にあるので節約も兼ねて途中で1回寄っていますが、基本的にはトイレがあるので道の駅に泊めていました。
その日の進み具合をみて、夕方前には温泉と道の駅を探していました。
車内はシートを倒してシート側とフルフラットの後部座席側に分かれて就寝。
長旅なのでキャンプ用のマットや敷き毛布で痛くならないようにしたり足を伸ばして寝られるように場所を作っていました。
まぁ荷物がそれなりにあったのでちょっと窮屈ですが、女2人の車泊なら大丈夫です。
道中タイミングがご一緒になった、笑顔が可愛い60歳前後のご夫婦も同じく車泊で回られてました。
体力すごいですね〜!
9月半ば頃だったので風邪を引かないように薄手の毛布も持参していましたがほとんど使わず。
ただ雨音は結構聞こえるので、耳栓も持って行っていけばよかったなぁと思いました。
集めたらどうするの?
88カ所すべての霊場を廻り終えることを結願(けちがん)と言います。
その後は弘法大師のいる高野山奥の院に満願のお礼参りに行きます。
これももちろんそのまま続けて行かなくても、時間を置いてからでも構いません。
山道を越えて高野山を訪れますが、神聖な地に足を踏み入れたその瞬間から不思議な雰囲気に包まれていきます。
到着して長い参道を超えた先にある弘法大師御廟と燈籠堂は圧巻の一言・・・!
この奥で弘法大師は今も生きて修行している(!)とされていて、維那(ゆいな)と呼ばれる仕侍僧が食事を運ぶ姿も見ることができました。
この場所で心からお礼の気持ちを伝え、やっと短くも長かった旅に幕を降ろすことになります。
12日間のお遍路さんを通して得たもの
この12日間を通して平穏な心と日々のありがたみを感じるようになりました。
そして、今を素直に受け入れてアイデンディティを考えることができた旅でした。
最初の頃のお参りでは、あれもしたいこれもしたい、こうなりたいああなりたいとそれはもう〜欲にまみれたお願い事しかできなかったんですが。
毎日天然のマイナスイオンを全力で浴びているとだんだんと穏やかな気持ちに変わっていくのがわかるんです。
毎日心静かにお経を読んでいると煩悩が飛んでいくんです。
4日目あたりからは自然と欲よりもただ今日のありがたさを伝える感謝のお参りに変わっていきました。
それも旅が終わり俗世に戻ると、流されて得たものが薄れているとは思います。
最後には暗唱に近くなった般若心経ももう覚えてません。
優しくしてくれたご夫婦のお名前も覚えてません。
それでも、ここで廻った12日はまさにスピリチュアルで忘れられない貴重な体験でした。
お遍路さんはどんな人にオススメ?
悩みがある人はもちろんですが、これから海外に行く人、海外から帰ってきた人、そして現代女子のパワースポット旅としても体験してみて欲しいです。
お遍路という人生の修行を通して、本当の自分を探す旅に出てみませんか?